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陶然-醒-★(16/17)

ベッドに仰向けになり、両腕を頭の上で組んだ。
俺の上に跨った輝政の手がシャツの中に入り込み、掌の熱を身体に拡げていく。
他人からもたらされる優しい感触が背筋を波打たせ、鼓動を急き立てる。
時折やってくるキスに応え、繰り返される内に、やがて互いの舌が絡み合う。
仄暗い空間の中で、二人の興奮が膨張し始める。

指での刺激は、ほんの些細なものだったはずだ。
顔を歪ませた彼の行為は、けれど、恐怖にも似た感情を湧き立たせる。
俺の反応を男がどう受け取ったのかは、すぐ後にやってきた、より大きな刺激で思い知った。
「・・・っう」
親指で転がされるだけだった双方の乳首は、徐々に二本の指で翻弄されるに至る。
全身が無意識の内に震え、彼の表情に悦楽の影が見え隠れするにつれ
少しずつ、恐怖心が大きくなっていくのを感じていた。

衣服をたくし上げられ、上半身が露わになる。
胸元に顔を埋めた彼は、今度はそこを、舌で愛撫し始めた。
舐られ、突かれ、吸われ。
上下に振れる頭頂部をしばらく眺め、目を閉じ、自分の身体の変化に身を委ねた。

不意に、快楽を携えた痛みが首筋を走る。
半開きで荒い呼吸を吐き出していた口が、唇で塞がれる。
程なく咥内に入り込んできた舌を、衝動のまま、絡ませた。
「・・・どっちが、良い?」
目を細めた彼は、鼻頭を触れ合わせて問い掛ける。
ぬるついた場所を再び摘み上げられ、喘ぎが漏れた。
答を口にすることは憚られ、代わりに、すぐそこに迫る唇に舌を伸ばして口づけをせがんだ。

しつこいくらいになされる乳首への責めが、性欲を酷く煽る。
首の後ろがうっすらと汗ばんできているのを感じながら、自らの手を固く握りしめた。
その時、ふと輝政の顔が離れていく。
突き出していた舌を仕舞う途中のタイミングで、彼は意味ありげな笑みを浮かべた。
「やらしー顔」
軽い口調で投げられた辱めの言葉に、身体が更に熱を帯びる。


弄られ尽くした性感帯から手の気配が離れ、ゆっくりと脇腹を通って下半身へと近づいていく。
俺の横に並ぶよう体勢を取り直した彼は、再び口づけを繰り返す。
窮屈な場所を撫で回す手が、腰を浮かせ、喉を震わせる。
しかし、ファスナーの下ろされる音が耳に届いた瞬間、つい、男の手を制した。
「怖いか?」
優しい声の問い掛けに、抗う気持ちが薄まる。
「オレは・・・どんなお前でも、嫌ったりしない」
服の中に入り込んだ指が感触を確かめるように性器を弄り、程なく、外へ引きずり出す。
痛いほどに勃起した部分の先端を、彼の親指が滑る。
「だから、本当のお前を、見せてくれ」
不意に見せた真剣な眼差しが、男の心境を映しだす。
緩やかに扱かれる直接的な快感が筋肉を強張らせ、呼吸をぎこちなくさせた。

覚悟はそれなりに出来ていたはずなのに、身体はなかなかついてこない。
愛しい男の手に包まれたモノは、昇っては落ち、昇っては落ちを繰り返す。
遣り切れない彼の顔に居た堪れなさが募り始めた時、彼は俺の手を取り、自らの方へ促した。
言葉は無く、視線はキスで遮られた。
手を添えた場所は明らかに昂ぶりを見せ始めていて、軽く握ると、鼻息が顎を通って首筋へ抜けていく。
快感に心身を委ねる姿を晒すことが怖いのは、輝政だって同じことだろう。
より深く唇を求めながら、彼のベルトに手を掛けた。

腕を交差させ、吐息を絡ませ、互いの本能を撫で合う。
眉をひそめて肩で呼吸をする男の姿が、より一層、刺激を深くした。
掌に感じられる凹凸が如実になり、指先が僅かに濡れてくる。
その気配に応えるよう、少しずつ手の動きを速めていく。
「ちょ・・・待っ、て」
苦しげな声が耳を掠めた。
額を寄せ合った彼の眼が、俺を見上げる。
「も、ちょい・・・」
紅潮した官能的な表情に、衝動が逸った。
「・・・焦らして」

親指で亀頭を撫で、滲み出してくる汁を裏筋に擦り込むように弄る。
彼もまた、同じ仕打ちを俺に与えてくれた。
耐えきれなくなった声が、二人の間に満ちていく。
「オレ・・・どんな、顔、してる?」
距離を詰め、身体を密着してきた男の性器が、俺のモノに擦り付けられる。
熱く逞しい感触が堪らなく気持ちいい。
「すごい、やらしい」
これが、本当の、彼の姿。
俺だけが知る、無防備な彼の全て。
嫌いになりようがない。

「英聡・・・もー・・・やべぇ」
虚ろな声が漂い、頂点が近いことを報せてくれる。
「ん・・・うん」
声にならない言葉を返しながら、手に一層の力を籠めた。
ほとばしる衝動に身体を震わせるのは、いつ以来のことだろう。
あの時は、心と身体が引き裂かれるような絶望の中だった。
今は、違う。
男を求めてきた純粋な想いが、やっと、成就する希望の中。
「は、あっ・・・いっく」
甘い歓喜の声を上げた彼は、一足先に頂へと立ち、後を追う俺を引っ張り上げる。
「んんっ・・・ん、ふっ」
唇が奪われ、喘ぎが飲み込まれていく。
間を置かず、彼の手の中に欲望が噴き出す。
激しい鼓動に軽い眩暈を感じながら、目の前の身体にしがみついた。

□ 95_陶然-酔- □
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□ 96_陶然-醒-★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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